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教室で教えるということ
教室で教えるということ (JUGEMレビュー »)
岩垣 攝,子安 潤,久田 敏彦
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皆様、ごきげんよう

フランス映画。

この映画は、映画案内を見てから出かけないと、なんだかわからないと思う。

構成・筋立てを何となく知っておく必要があろう。

 

筋立て。場所は、主にパリ。

時間の最初は、フランス革命の貴族の処刑場面。次は、パリじゃないがフランスと関わりのある場所での戦争場面。戦車や兵士の服装から判断すると第二次世界大戦より後で植民地戦争か。

その後に主人公が管理人を務めているパリの今へと時間は飛ぶ。

これらの時間に直接的な関連はない。だが、それらの出来事の上に今につながるものがあると見ているようだ。

 

その後は、パリの強盗団、のぞきが趣味の警察署長、アパート管理人の主人公と頭蓋骨収集をする友人らが紹介されていく。これらの描き方はシニカルなユーモアで構成されている。管理人とその友人は知り合いだが、それ以外の人々とは直接的な関係がない。強盗団のメンバーの姉妹を住人として知っている程度の関わりだ。

街のホームレスが署長らに公園から追い出されることになって阻止に駆けつけるが、うまくはいかない。住人の日常が少しずつだけ描かれて、ほんの少しだけ関わる場面がつなげられていく。主人公とその友人の関係以外は、わずかな関わりとして描かれ続ける。

通りの途中、塀に普段は見えない入り口が現れるシーンがある。その中は「秘密の花園」のような場所で、そこに携帯が鳴ってしまうとそこに居られなくなる。これは何を象徴しているのだろう。それぞれがそういう時間と場所を持っているであろうに、それが浸食されているということか。よくわからない。

 

織り込まれた意味を読み取り逃していると思うが、一人一人にとっては重大かもしれない出来事とほんの少し関わって一人一人は暮らしていることを描いた作品と見てよさそうだ。

ストーリー重視派の私としては、イマイチの映画だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

| 映画 | 07:31 | comments(0) | - |
弁護人

盧武鉉元大統領が弁護士時代に、転機となったという釜林事件(1981年、全斗煥軍事政権が民主化運動弾圧のためにねつ造した事件)の弁護を担当したことに題材をとった映画。盧武鉉の実像と同じかどうかは知らないが、経歴は似ているらしい。

 

ストーリーは、高卒で弁護士資格を取って、税務専門弁護士として働いていたが、知り合いの息子が全斗煥政権にでっち上げられて逮捕され、その弁護を頼まれたことから無実を証明すべく、政権の不法行為を明らかにしようと奮闘する話し。

主演のソン・ガンホは盧武鉉と同郷の金海出身。

悪役の似合うクァク・ドウォンも出演していた。ファントムでは主人公を張り合いながらも助ける刑事役だったが。

 

軍事独裁政権というのは、事件のでっち上げ、拷問、嫌がらせなど色々やったんだということがよくわかる。裁判でさえもできレース。都合の悪い証人は逮捕していく。「テレビと新聞ほど信用できないものはない」といったセリフがあったが、日本の現実に重なる。また、法廷の場面で鮮明となるが、持ち出される「真の愛国心」ほどその存在が融通無碍に形をかえ、証明不可能なものであることを示していた。そうした内面の問題は結局、独裁者に忠誠を誓い従属した行動をしているかどうかで無法に決められていくものであることが描かれていた。

映画としてよくできていて、今年のベストテンに入れたい。

映画の舞台は、80年代。それは私が新米の大学教員となった頃。その頃の韓国が独裁国家だということくらいは知っていたが、隣の国で起こっていることをほとんど知らなかった。同時代をどれくらい想像して生きているかは大事だなと思った。

 

映画の前半の終わりに、飯屋の店主が「恩は顔と足で返すもの」と言って、昔の無銭飲食代を返しに来た主人公に「いらない」というシーンがある。以後、主人公はこの店に通い続ける。旧い倫理観もないまぜかもしれないが、一面の真実かもしれない。

 

 

 

| 映画 | 00:17 | comments(1) | - |
君の名は

ヒットしてしまったので、商売柄みておくことにした。

 

若い頃に夢見る映画という印象が残った。

人が入れ替わる原型は、憑依だろうか。

映画で印象に残っているのは「転校生」だが、あれは知っている者同士が入れ替わる。「君の名は」は、知らない者同士という点が異なる。また、二人の時間も微妙にずらしている。でも入れ替わり、やがて出会う。

 

しかし、話のつじつまがあわない。たくさんの人が亡くなった新聞記事などがある一方で、助かっていた話しに終盤はなっていた。

 

RADWIMPSの唄があって作品が造られたのかなと思ってしまうほど、ストーリーは唄の一節に忠実であった。前世からのつながりであって欲しいという願望を映像化した感じが、一部の「若い頃に夢見る」ための作品という私の表現になっている。必然だけの世界に出会いは偶然で、その後の時間の積み重ねに必然を見つけられないとき、必然をどこかにみつけたいがそれがないとき「前世」と言ってしまえば考えなくて済む。

そういう思考停止の映画という見方も可能だろう。(隕石の被害を減らそうと協働したと言えなくもないから、思考停止と言ってしまうと言いすぎなのだが、それは夢でもある。)

 

ところで、ずっと前から思っていたのだが、そして他に指摘している人がものすごく沢山いるように、RADWIMPSはどうしてもBUMP OF CHICKENに曲も声もよく似ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 映画 | 07:58 | comments(0) | - |
この世界の片隅に

とても久しぶりの映画記事。映画館は朝から行列。ほぼ座席が埋まっていたのは、この映画だけ。

 

アニメはすずの子ども時代から始まる。江波から中島町へ舟に乗って、あるいは江波から草津へ海沿いを歩いて出かけるシーンがある。どちらもなじみの地名だが、私の記憶の風景とはかなり異なる。

やがて、呉に嫁ぎ、戦争の直接的な影響を受けて物資がなくなり、空襲にあい、親戚・近所の人々が亡くなっていく。

すずの日記のように映画は続く。

 

この時期、呉で暮らした一人の生活が細密な画像で描かれたアニメ。一人の人にとっては重大な出来事が起こっていくのだが、その多くは淡々と記されていく。

アニメによるドキュメンタリー風再現ドラマという印象が残った。ストーリー性あるいはストーリーの論理の新しさを映画に期待するわたしには今ひとつだったが、この時期についてNHKの朝の連続ドラマ的イメージしかない場合には見ておく価値はあるだろうと思われる。(そう思う理由は、出来事への日常生活的感情の反応は描かれるが、その出来事に関する広がりのある分析が細かな振る舞いに見えなかった所為だと思う。)

 

 

 


 

| 映画 | 07:37 | comments(0) | - |
聲の形

原作の7巻全部をもっているのだが、出だしの巻しか読んでいない。

映画は、少々わかりにくい気がした。

 

冒頭のカレンダーの×印はその後を象徴している。没交渉な人間の顔には×が付いて描かれている。ただ、カレンダーの手書きの×印が定規で引いたような直線であることが気に入らなかった。ここは揺らいだ線であってほしいなと思った。

 

映画は、いじめの話しと、いじめっ子だった将也がいじめられっ子に転落し、人との普通の関係や信じてもいいと思えるようになるお話し。悪くはないが、どこに問題があったのかをもう少しはっきりさせたい。

 

1)小学校6年生の時の将也と二人の男の子との関係は、遊んでいるように見えて典型的ないじめだが、将也がなぜそうしてしまうのかが描かれていない。

2)硝子がクラスから嫌われる原因となった場面がほんの少ししか描かれていない。障害に対する理解のなさであろうが、それが語り合われない点こそが問題なのだが。

3)クラス担任の竹内は、クラスにいじめがあることをなぜ放置したままなのか。突然、学級で将也の追求をし、他の同調していじめていた子たちのいいわけをそのまま認め、将也の責任にして終わりにしてしまうのか。そういう教師もいると思うのだが、なぜそうしてしまう教師なのかを描いてほしかった。(全生研では、こうした一方的な追求は行うべきでないと考える教師が圧倒的に多いのだが、世間では異なるのか?)

4)硝子はいつも「ごめんなさい」といいだすのだが、そういう風に言ってしまう関係とその歴史が描かれていない。これは将也との関係で後半に重要となるのだが、そこは記されるべきではないか。

そんなことを観終わった後に思った。

原作も3種類あるらしいが、映画のリメイク版をつくるために、個々の場面の読み解き考えるにはいい映画だ。

 

今年できたばかりの映画館で、プレミアムシートに座ったのは二度目。

 

テレビも映画も漫画原作が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

| 映画 | 06:51 | comments(0) | - |
コロニア

エマ・ワトソン主演のチリの史実に基づく映画。

1973年、アジェンデ大統領政権に対して軍事クーデターが発生し、ドイツのジャーナリスト・ダニエルとその恋人であるレナが捕まる。ダニエルは大統領派のポスターを画いたため、コロニア・ディグニアに送られ拷問を受ける。彼を救出すべく、解放されたレナは表向きはオカルト教団のコロニアに入り込む。

そこは元ナチス党員のパウル・シェーファーが暴力で支配する教団で、裏ではピノチェト大統領と結託してアジェンデ大統領派を拷問し殺害している。

オカルト教団の洗脳手法は、日本にあるいくつかのオカルト教団の手法と同じだなと思いながら見た。教皇への帰依、暴力と絶対の服従、考えさせずに追い込む、歌とシュプレヒコール、無力感の創出などと組み合わされていた。

 

二人はここからの脱出し、コロニアが拷問と虐殺の施設であることを国際的に暴く。そこに至る映画。

教皇と呼ばれたシェーファーはピノチェト独裁政権が倒された後逮捕され、アルゼンチンで服役中に死亡したとエンディングで説明されていた。だが、服役理由は拷問と殺害ではなくて、コロニアでの子どもへの性的虐待だったと説明書きしてあった。つまりこの映画は、この施設で何が行なわれたのか、その責任ある加担者たちがそれにふさわしく罪に問われていないことを告発している。

 

ワトソンは、この映画について、女が男を救出する映画となっていることを高く評価している。監督のフロリアン・ガレンベルガーは日本の観客に向けたメッセージで「一人のリーダーを支持し、自分で考えることを放棄するとどうなるか、これまで様々な国でこういった歴史が繰り返されてきました。私たちは、特に若い人々に、自分の頭で考える、自分の考えを持つ、そして自分の指導者に疑問を投げかけることの重要さをリマインドする必要があります」と述べているようだ。

誰を想定して述べたのかがわかるように思われた。

 

ハリー・ポッターのエマ・ワトソンしか知らない人は、彼女が国際女性の日を推進する国連の親善大使を勤め、ジェンダーの平等を追求する活動をしていることを踏まえるとこの作品に出演した理由がわかろうというものである。ネット上に国連での演説がアップされている。

https://www.youtube.com/watch?v=jQbpLVI6DwE

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 映画 | 07:10 | comments(0) | - |
クハナ!

タイトルの意味が一番気になって寄った映画。タイトルの由来だけは見逃さないようにと見始めた。

 

内容は、廃校が決まっている学校に通う桑名の小学生のジャズ部活の話。

人口減少や産業の衰退にともなって廃校が決まっている。親たちの生活も苦しい。

子どもの暮らしにもそれが反映している。

そこに、ジャズプレイヤーを志して挫折した先生が赴任してきて、ジャズのビッグバンドをやることになる。映画案内にあるように「 大人たちのゴタゴタや、海斗の突然の転校などを乗り越え、真珠たちのビッグバンドは県大会を勝ち東海大会へと突き進む快進撃を見せる」という映画。

 

「仰げば尊し!」の小学生コメディ版映画という感じ。

設定が、部活で、指導者がどこかダメで、本番直前のトラブルという既視感が強くて、もう一歩の地域創生映画。演奏の音の水準は高いけど音源は見逃した。本人たちがやっていたとしたらこれは大変だったろう。

 

気になったタイトルの「クハナ」は、映画の中のセリフでは、「9人の華」つまりの9人の小学生の女の子からなるバンド名と説明されていた。

しかし、映画の説明サイトによれば、「クハナ」は桑名の昔のカタカナ表記とあった。原作は読んでいないので知らないが、ハングルだと「クハナ」は「あなた(彼女ら?)の一番」とならなくもないらしい。

 

仕事の都合で女性映画祭の見たかった作品は見られなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 映画 | 06:57 | comments(0) | - |
奇跡の教室ー受け継ぐ者たちへ

原題は、副題の方の相続者。

貧困地区の多民族的高校の実話だそうで、その時の生徒も一部出演しているそうだ。

ゲゲン先生は歴史と地理と美術史の高校の先生。

冒頭は、スカーフをかぶっているために高校の敷地に入れてもらえない卒業生と教師の言い争いのシーン。教育関係者なら知っているように、フランスには公共の場での宗教的示威の禁止という法律がある。だから学校ではスカーフやブルカなどが禁止だ。政教分離の原則にしたがっているということになっているが、これは圧倒的にイスラム教徒に不利だ。

ともかくやる気のない高校生が集まったクラスを担当するゲゲン先生、厳しく要求もするが生徒を守ったり信じたりもする教師のようだ。調べたことを発表するコンクールに応募することにする。アウシュビッツ絶滅収容所のことを調べることにする。その一環で、そこから生還した数少ない人の話を聞くことにする。これに証言者本人が出演している。その証言に衝撃を受ける生徒たち。それから調べる活動の水準が上がる。

 

この映画は、問題の多い高校生も歴史に学び変わっていくことを描いていると同時に、ナチスの犯罪と悲劇を若者が継承していくプロセスを描いている。

ナチスのような民族差別をなくす課題の継承を考えているわけだが、その取り組みの困難さとともに、受け継ぐことの意味も考えさせる映画となっている。

 

また、生徒を信頼するとは何かも描いている。例えば、フランスの学校評議会の様子が一部描かれていた。この仕組みも興味深い。保護者代表が服装が問題だという。服装では生徒を処分しないと断言する校長、生徒代表の発言、そして担任のゲゲン先生の発言が興味深い。処分するのかしないのかをめぐって、生徒を守る側の発言をしていた。

 

教師を志す人は、この映画も観ておくべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

| 映画 | 07:05 | comments(0) | - |
トランボ

1940年代に始まっていたアメリカの一連の反共法。

50年代にはハリウッドに襲いかかる。

ローマの休日やスパルタカス、栄光への脱出などの脚本家のダルトン・トランボは、共産主義者。赤狩りが冷戦下で吹き荒れるとき、議会での証言を拒否して投獄される。

脚本を実名で書けなくなるが、偽名で執筆し、上記の二つの作品はアカデミー賞を受賞する。

米国は一応自由の国となっているが、自由を認めなかった汚点の一つをトランボの実際に起こった出来事で画いた作品。汚点の一つというのは、汚点をたくさん持ち、今も生産し続けているから。

 

この作品は、最初から最後まで飽きさせることなく見せる。共産主義者への迫害を加える側こそが、脱税をしていたり、戦争には行かずに安全な側にいたりしたと批判して見せたり、なんの証拠もなく暴力を振るう姿を描いている。

自由な表現が抑圧される時代となりつつある日本の現実を考える上でも、この夏見逃せない映画だ。


トランボの子どもが、自分も共産主義者かどうかを父に尋ねる。トランボが、持たざる者と食べ物を分け合うか?と判定のための質問をしていくシーンなど脚本家らしい対話となっている。

ローマの休日の真実の口のシーンは、真実の口は塞げないしだませないともとれるなど作品とトランボをつなぐ映像となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 映画 | 06:51 | comments(0) | - |
ブルックリン

溜まりに溜まっていた原稿が一段落して、久しぶりに出かけた映画らしい映画。

アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にノミネートされた作品。

 

ストーリーは、単純なのだが、何通りかの隠喩がそこにある。

1950年代のアイルランドに住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)がブルックリンに移住する。しかし、仕事にも暮らしにもなじめずホームシックになる。だが、やがて恋人もできる。そこに姉が突然亡くなり、アイルランドに戻る。

そこには、もう一つの人生があるように見える。ブルックリンに戻るかどうか迷う。

 

映画の中にあった隠喩、対比の一部。

海を渡るということ。1回目と2回目の対比。

アイルランドの商店の売り方とブルックリンのデパートの売り方。

主人公のエイリシュという名前は、アイリッシュ(アイルランド人)からきているだろうが、ブルックリンは多民族的。

ホームに住む者、ホームレスとなるもの。

1950年代の移民が、ホームを捨ててホームを見つけるということとは何か。

人生を選ぶとはホームを捨てること。

身体に染みついたホーム。

しかし、出入国管理所の青い扉の先に行くこと。

 

この映画の始まる前に、予告で秋からの上映作品が流れていた。これが良かった。

語る口と言葉が押さえ込まれた時に、ハリウッドはたたかった。

しかも巧妙に。一つは「トランボ」。ローマの休日の本当の原作者だ。

もう一つは「ニュースの真相」。

そんな時代の一つの行き方がそこにあるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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