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人はなぜ物語を求めるのか

八鶴湖の桜を待つ風景。バスを待つ間に寄ってみた。

昨日はまだ開いてなかったが、屋台はもう何台も並んでいた。

 

千野帽子、『人はなぜ物語を求めるのか』筑摩書房、840円と税金。

ブログで本を取り上げるときに章立てを紹介することはほとんどないのだが、珍しく記す。

第1章 あなたはだれ?そして、僕は誰?

第2章 どこまでもわけが知りたい

第3章 作り話がほんとうらしいってどういうこと

第4章 「〜すべき」は「動物としての人間」の特徴である

第5章 僕たちは「自分がなにを知らないか」を知らない

こう並べると著者の物語論の枠組みがなんとなく見える。出だしはアイデンティティ論としての物語論だ。次は、心理機能としての感情のつくる物語。その次は文学としての物語に焦点が当たっている。その次は、物語に拘束される問題。最後に、ストーリーに落ち込む危険への処方箋。

 

アイデンティティ論や物語論は、定番としてのフォスターなどから書き始めてくれている。また、以前読んだことがある文献に依拠している部分など違和なく読める所も多い。ただ、引用文献の学問的つながりよりは、千野の捉える物語につなげる意図から引っ張り出されている感じのところもある。簡単に言うと、千野の物語論の枠組みをそれとして示してもらった方が私には読みやすい。「人」と括っているので「一般化」がなされているわけだが、論及されてない点もありはしないかなどと思い描いたときに、否定も肯定もしずらい。

また、物語に関する物語論としての説明だと割り切れば多少理解できないことはないが、事実との関係を問わずに物語の中で記しているので、本当はどうなのかというまなざしが弱くなる。文学の物語の場合は、書いてある状況から物語の妥当性の範囲を読むことになるので、唯一の読みはない。だが、人の物語りの場合は、事実との対応をかなり確かめていくことが可能な場合がある。アイデンティティが起こった出来事のつなぎ方による物語りと記してあるように、基には出来事という事実がある。出来事との対応関係をある程度確かめることができる。この観点がハッキリしないように思われた。
例えば、地震や津波ではなく、人は原発の設計を攻めたくなってしまうのである、などと書かれている。しかし、それは違うだろうと思う。原発の不可能性や設計の問題点という事実を飛ばして、人の心性のように記してしまっている。事実問題が飛ばされて、心性として説明してしまっている。
もう一つ、物語は共同で編まれる要素があると思うのだが、その危険性をもっと率直に打ち出してもらった方が、思い込みの誘惑への処方箋が鮮明になったように思う。
そんな引っかかりを感じたが、心理学的な物語論のイントロ的話題の振り方としてわかりやすい書き出しとなっているし、私の知らない先行文献からの議論もあって、すっと読み続けることができた。「一般論」という思い込みの危険性に関する議論が本書のポイントの一つだと思われるが、事例がわかりやすいので参考になったところもある。

 

 

 

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